PAY DAY!!!

山田詠美を何冊か読んで気づいたことといえば、日本人の話かそうでないかによって台詞の表現が全く異なるということ。
今回はアメリカのお話だったから、英語の台詞をわざわざ日本語に訳したような言い回しばかり。
でもそれが、より日本の話じゃないんだって思える良いきっかけになってる気がする。




恋人との色恋に家族愛、それらを脅かすいろいろな事件。
各章の中でそれぞれの起伏があって、必ず最後にペイデイがやってくる。
どうしようもなく厄介な事態をひっくり返すペイデイもあれば、
兄弟愛でぎゅっと心温まるペイデイもある。

ペイデイって幸せな響き。
その響きとは対照的に、悲しい事件が物語の空気を一変させる。
受け入れ難い現実をつきつけられたとき、側には支えてくれる人がいて。
その現実を受け入れて、一歩前に進もうとする。
何も言わずに支えてくれる人、求めてくれる人、愛してくれる人。
家族がいて、恋人がいて、親友がいる。

傷ついたあと、人は強くなるんじゃなくて、また傷つくようなことがあるんじゃないかっていう恐怖を感じていて、それを誰にも悟られないような演技が、つよがりの演技ができるようになるだけ。
なのかもしれない。

それでもいい。
そこまで含めて全てをわかってくれる人が一人でもそばに居てくれるなら、一歩前に進める気がする。






「ぼくが離婚で学んだことは、たったひとつだよ。人との関係に永遠なんてあり得ないということ。もしも、永遠を作り出したいと思うなら、その答えは、今にしかないということ。やがて、別れるかもしれないっていう不安を持つのは良いことだよ。ただし、それを幸せな気持ちのために利用しなくちゃ」


ダディ!
焦点は当たっていないけれど、あなたもきっとすごく傷ついている。
しかし親は強いね。


PAY DAY!!! (新潮文庫)

PAY DAY!!! (新潮文庫)




ちなみに、

個人的にはミシェールの毒づいた、ストレートな言い方と、時折見せる優しさに、完全に虜になってしまいました。

「苦しいことがあったら、私に話したらいい。悲しい時には、私が慰めてあげる。下心を持ってるんだもの。あなたのこと、とても優しく丁寧に扱ってあげられるわ」