P.S.I Love You

P.S.アイラヴユー (小学館文庫)

P.S.アイラヴユー (小学館文庫)

作者のそのままの言葉じゃない気がして、和訳された海外の小説は敬遠していたんだけど、これは好きになれたんだよねー。初めて読んだのは高校生の時。ストーリーが気に入って映画もそのときに一気に観た。

そしてこの前、6年ぶりくらいに今度は彼女と一緒に観てみた。歳も環境も変わったら、印象も全然変わるもんなんだね。

話の流れとしては、単純で、若くして未亡人になった人が立ち直るまでの話。彼を亡くした悲しみで荒んでいる彼女のもとに、死んだはずの彼から手紙が届く。不定期に、それでいてすごく良いタイミングで続々と届く手紙。そこには彼女が立ち直るためのアドバイスと、必ず最後に「P.S.I Love You」が添えられている。

要所要所で出てくる彼との思い出が染みる。悲しいに決まってる。彼からの手紙はいつも暖かい。粋な計らいもあって彼女はさまざまなイベントに参加したり、新たな出会いもあったり、親身になって寄り添ってくれる親も友人も彼女を助けてくれる。カラオケで歌いまくれば立ち直れるのだろうか。新しい恋人ができれば立ち直れるのだろうか。友人と旅行に行けば立ち直れるのだろうか。母親の胸で思いっきり泣けば立ち直れるのだろうか。

大切な人がいなくなったらどう立ち直ればいいのだろう。

この映画は、その悲しみから立ち直る方法を教えてくれるわけじゃない。ただ、自分の死後まで考えて完璧な準備をして逝った彼は彼女をちゃんと導いてくれた。その方法はとてもロマンチックで優しくて理想的。現実はこんな風にはいかないのだろう。自分が感じるのはただ一つ、大切な人を大切にしようと、それだけである。

You made my life, Holly. But I’m just one chapter in yours. There’ll be more. I promise. So here it comes, the big one. Don’t be afraid to fall in love again. Watch out for that signal, when life as you know it ends. P.S. I will always love you.

最後の手紙の最後の部分。

Don't be afraid to fall in love again.

こんなことが普通言えるだろうか。 本当に本当に愛していたんだな。愛した上で、彼女のこれから先に残された人生までも大切に考えてあげることができるんだな。こんなこと言えるほど大きい人間になれるだろうか。

彼女は始終大号泣の末、もう一生観ない!と言い張って、腫れぼった目のまま眠ってしまいましたとさ。