すべてがFになる

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)

森博嗣、もっと早く読み始めていればと大後悔するほどに良かった。

理系の大学生、大学院生、特にプログラムを書くような人にはとてもとてもおすすめである。自分は、読書家と呼べるほど多くの本を読んできたわけではないが、UNIXや変数の型名、16進数などが平然と文中に出てくる小説を今まで見たことがない。文中と言っても、ごく一部。でもそのごく一部の専門用語達がなかなかいい仕事をしているのだ。

建築科の助教と学生が主人公なだけあって、思考は論理的、科学的。会話も理路整然としてる。また本文の所々に見られる比喩表現も理系的だったりして気持ちいい。

熱しやすく冷めやすい、比熱の小さい金属のような感情

ストーリーは完全なミステリー。謎解き。 最後の最後までトリックはわからなかった。たばこを吸う描写が多く、喫煙者は読みながら吸わずにはいられないだろう。また、話者、と言うか文章の視点が自然に、頻繁に交代する。別にそれがわかりにくい、というわけではないけれど、少し気になった。

シリーズがまだまだあるということで、続けて読んでしまおうと思う。